ロト6で当たった人のその後を語る記事は、なぜ6億円の話ばかりなのか

ロト6で当たった人のその後が気になって調べている方が読んでいると思います。破産した、家族と揉めた、仕事を辞めて崩れた。そういう話です。
私も何本も読みました。ただ第1回から第2128回までを数えたら、当たった人の93.84%は5等の1,000円でした。3億円以上を受け取ったのは27年間で234人です。語られている「その後」が、誰の話なのかを確かめました。
当たった人のその後として語られていること
出てくる話は、だいたい型が決まっています。
高額当選者が仕事を辞めて散財した。親族が金を借りに来た。夫婦仲が壊れた。数年で使い切って元より苦しくなった。
銀行が当選者に配る冊子の話も、よく引き合いに出されます。当選したら誰にも言うなと書いてある、というあれです。
読んでいて面白いのは事実だと思います。私も引き込まれて何本も読みました。
ただ、読み終わって気づいたことがあります。どの記事も、金額が3億円や6億円から始まっているのです。
そもそも「当たった人」とは誰のことか
第1回から第2128回までの当選口数を、等級ごとに全部足しました。延べ人数です。
27年間で当たった人の内訳
5等(1,000円) … 6億2,284万人・全体の93.84%
4等(8,400円) … 3,996万人・6.02%
3等(42万円) … 85万人・0.13%
2等(1,465万円) … 2万6,996人
1等(1億5,557万円) … 4,042人
金額は当せん金の中央値です。
当たった人の10人に9人以上が、1,000円を受け取っています。
これは当たり前といえば当たり前で、5等は6個のうち3個当てれば成立します。宝くじ売り場で「当たった」と言っている人の大半は、この1,000円のことです。
1等は27年間で延べ4,042人。1年あたり約150人になります。日本の人口で割ると、80万人に1人が1年に1回当たる勘定です。
「当たった人のその後」として語られているのは、この4,042人のさらに一部の話でした。
もうひとつ書いておくと、この4,042人は延べ人数です。同じ回に3人で分けていれば3人と数えています。1人で丸ごと受け取った人は、この中のさらに一部にすぎません。
1等でも、受け取る額は6億円ではありません
では1等を当てれば6億円かというと、そうではありません。
ロト6の1等は当てた人全員で山分けします。当せん金の総額は抽せんの前に決まっていて、それを当選口数で割る。同じ1等でも、その回に何人が同じ数字を書いたかで受け取る額が変わります。
1等の受取額(キャリーオーバーなしの1,190回)
5,000万円未満 … 129回(10.8%)
5,000万〜1億円 … 299回(25.1%)
1億〜2億円 … 441回(37.1%)
2億〜3億円 … 166回(13.9%)
3億円以上 … 155回(13.0%)
中央値 … 1億2,134万円
いちばん多いのは1億円台でした。3億円を超えるのは13.0%です。
そして下を見ると、5,000万円未満が10.8%あります。第230回にいたっては167人で分けて1口181万円でした。1等です。
同じ回の当せん金の総額は3億円ありました。167人で割った結果が181万円です。
宝くじ売り場の「最高6億円」という表示は、キャリーオーバーが積み上がって、しかも1人で当てた場合の上限です。実際に受け取った額の中央値は、その5分の1でした。
キャリーオーバーがあった回を含めても、絵はそれほど変わりません。積み上がった原資も、当てた人数が多ければ同じように割られるからです。上限が上がっても、分母が増えれば手取りは増えません。
3億円以上を受け取ったのは、27年で234人
「その後」の記事に出てくる金額は、たいてい3億円以上です。
その規模を受け取った人が何人いるのかを数えました。
3億円以上を1口で受け取った人
27年間で … 延べ234人
1年あたり … 約8.7人
年に9人弱です。
この人数だと、破産した人も、うまくやった人も、統計にはなりません。語られているのは、234人の中でたまたま話が漏れた数人ということになります。
そして漏れる話には偏りがあります。静かに暮らしている人は取材に応じないので、記事にならない。崩れた人の話だけが残ります。
誤解のないように書いておくと、破産した人がいないと言いたいわけではありません。年に9人しかいない層の話を、当たった人全体の話として読むのは無理があるという話です。
10人に9人が1,000円を受け取っている世界で、6億円を手にした人の顛末を読んでも、自分の参考にはなりません。
逆の見方もできると思います。年に9人しかいないということは、3億円以上を受け取る椅子が毎年9脚は空いているということでもあります。座れるかどうかは運ですが、椅子が存在しないわけではありません。
その後より先に、受け取る額のほうが決まっていません
ここまで数えて、私が気になったのは別のところでした。
「その後」を心配する前に、いくら受け取るのかがまだ決まっていないということです。
第1181回は2人で分けて1口5億8,918万円。第230回は167人で分けて181万円。どちらもキャリーオーバーなしの1等で、当てた難しさは同じです。差は325倍ありました。
違ったのは、同じ数字を書いた人が何人いたかだけ。
そして167人で分けた回の数字を見ると、誕生日に収まる範囲で、間隔もきれいに散っていました。多くの人が良いと思う形をしていたから、167人も同じことを書いたわけです。
当たるかどうかは運です。ここは誰にも動かせません。
ただ、当たったときに5億8,918万円のほうへ行くか181万円のほうへ行くかは、選ぶ数字で変わっていました。全2,128回の当選口数を集計すると、そこにははっきりした傾向があります。詳しくはこちらの記事に書きました。
言い方を変えると、当たった後の心配は当たってからで間に合います。ところが取り分の話は、マークシートを塗る前にしか手を打てません。順番が逆になっているのです。
まとめ|ロト6で当たった人のその後を調べている方へ
数えて分かったことをまとめます。
当たった人の93.84%は5等の1,000円でした。1等は27年で延べ4,042人、年150人です。
その1等でも、受け取る額の中央値は1億2,134万円。3億円を超えるのは13.0%で、実人数にすると27年で234人、年9人弱でした。
「その後」として語られているのは、この年9人の中でたまたま外に出た話です。しかも静かに暮らしている人は取材に応じないので、崩れた話ばかりが残ります。
怖がる必要も、憧れる必要も、たぶんそれほどありません。
それより先に決まっていないものがあります。当たったとき、何人で分けることになるかです。ここだけは選ぶ数字で変わっていました。
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